『プロローグ』



 この世に存在する全てのものには、命があります。心もあります。意思だってあります。それが動物であれ、植物であれ、例え動くことのないものであっても、それらは平等にあります。あまりに現実味を帯びていない、突拍子もない話ですが、世の中は人間が全てではないのです。人間が中心ではないのです。例え人間が否定したとしても、あるものはあるのです。
 さて、ここに石ころが一つあります。何の変哲もないただの石ころです、…というふうに見えるのは人間だけなのかもしれません。ほら、聞こえてきませんか。同じ地球に存在する小さな命の鼓動が。生きようともがく必死な心の声が。砕けてもなお、そこにあり続けようという意思が。
 これは、そんな石たちを描いたちょっとユメのある、ファンタジーな物語です。




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